初代艇長故鈴木憲一氏の想い出
投稿歓迎
ギャ〜13回忌が過ぎてしまった。鈴木君の父上が他界した折
母上に出した手紙をもって想い出記とさせて頂きます。  稲葉
1998年3月27日
仙台市
           鈴木 栄子 様

                       東京都練馬区旭丘2ー10ー11  
                                     稲葉  勇
拝啓
 ご丁寧なお手紙ありがとう御座います。憲一君の父上が病床にあ
ることは風の頼りに知ってはいたのですが、多忙と生来の出不精の
ためお見舞いの言葉も差し上げられづ失礼いたしました。
 また憲一君のお墓参りにも行きたいと常々思っており、雪が降ると
陸奥の真っ白な雪の中で静かにたたづむ鈴木家の墓石を想い起こ
します。この度は本当に残念なことではありますが、きっと天国で憲
一君と再会し酒でも酌み交わしているのではないかと想像しております。
 私ももうすぐ53才、父親役の真っ最中ですが、子供達(長男23才、
次男19才)も手がかからなくなり、時折我が父はこのころどんな父親
だったかなあと想うことがあります。
 丁度お手紙を頂いた日、憲一君の統制で実現したヨットNONB号から
帰ってきた日でした。憲一君の思い出というより、憲一君そのものとも
言えるヨットNONB号も、長い冬の間、出不精の仲間達を静かに待ち、
私たちを笑顔で迎え、安全にセーリングを楽しませてくれました。早い
もので、仲間と購入してから25年が経ちます。
 あの時は本当に活動の存続をどうしようかと思い悩みましたが、憲一
君の残してくれた分厚いノートを頼りにこれまで、安全にヨットライフを
楽しんでこれました。
 NONB号には今でも憲一君が脈々と生きております。仲間と船で
話すとき、何回も憲一君の名前が出てきます。彼の単なる操船上の
教えばかりでなく、NONB号を通じた生き方というか、そういうものが
あの小さな艇内にギッシリと詰まっております。
 私もそろそろ海に出るのはくたびれたなあーーなどと思っていると
NONB号を支える若い仲間から『鈴木さんに怒られるゾー』などと
言われてしまいます。その度にまだまだお前らには負けんゾーなあ
ケンチャンとつぶやき自らにムチ打っております。

 ほんの数日前NONB号の更新を決定しました。この一年間、仲間
といろいろ相談しましたが、結論が出づ、困ったものだと思っており
ましたが、先週の土曜日突然前触れもなく皆の合意がとれたもの
です。きっと天国の父上が憲一君に報告し、NONB一世号進水の
時のように仲間の総意を調整してくれたのだと信じております。
 ケンちゃんの創ったヨットクラブNONBは、ケンちゃんとNONB
二世号とともにさらに発展します。
 ケンちゃんの創ったヨットクラブNONBは、ケンちゃんとNONB
二世号とともに不滅です。
お母上様にはお身体にさらにご慈愛頂くよう願いつつ、お礼と脈々と
生き続けるケンちゃんの意志をご報告いたします。

敬具

                                稲葉 勇